社長ご挨拶

健康寿命という言葉をご存じでしょうか? 健康寿命とは、その名の通り、健康上の問題がない状態で日常生活を送れる期間のことを言います。WHO(世界保健機関)のデータによると、日本人の平均寿命と健康寿命の間には、男性で約9年、女性で約10年の差があるというのです。
この事実に私は愕然としました。これが意味するところは、健康を損なってから10年近くも“生かされている”ということ。人生の終末の10年間は、自分の足で立つこともできない寝たきりであるという事実にショックを受けたのです。

時代は今、65歳以上の人口が3,000万人を超す超高齢社会を迎えました。高齢化社会というと、どうしてもネガティブなイメージが先行します。認知症、寝たきり、介護……など、老後をイメージすると、そのようなネガティブな言葉が並んでしまう。
先のデータは、まさにこのネガティブな老後が、事実としてそこに存在することを表すものでもあります。
私は健康寿命を延ばすことが、高齢社会の日本を生き生きとさせる最善の道であると考えています。

3年前、私はカラオケハウス「銀の夢」を、横浜の日吉にオープンさせました。このお店は、私がかねがね考えていたアイデアをカタチにした第1号店です。そのアイデアというのが、カラオケの新たな活用法です。

カラオケを楽しむ場というと、従来はカラオケボックス、あるいはスナックでした。
カラオケボックスは仲間同士が個室に入って楽しむ場所、スナックはお酒と女の子がメインでカラオケはサブ的な存在。私は一人でも気軽に行けて、お酒がなくても純粋に歌うことを楽しめる場を作りたいと考えたのです。
「カラオケハウス」と名付けたのは、シルバー世代の方たちが、歌うことを目的に集まれる空間になれば、という願いからです。

ありがたいことに、この1号店はヒットしました。連日、ご近所の年配の方々が大勢来店してくださり、楽しそうに歌っては笑顔で帰って行くその姿に、私の考えが間違っていなかったと安堵したものです。
健康寿命を延ばすのに、カラオケが一番だと確信したのもこのときです。

この頃から私は、シニア世代の健康寿命を延ばす一助となる、カラオケハウス「銀の夢」のような業態の店を全国に広げたいという思いが募り、2012年、今まで培っていたノウハウを提供するためのフランチャイズ本部を起ち上げました。

現在、加盟店も順調に増え、6店舗を超えました。しかし、私の目標は、東京オリンピックが開催される2020年までに、2,250店舗まで拡大することです。無謀と思われるかもしれませんが、私は手応えを感じています。

なぜなら、健康寿命を延ばすことができる“カラオケ”が、超高齢社会の日本には潜在的なニーズとして存在しているはずだからです。カラオケブームは去ったと言われていますが、むしろ時代は今、カラオケの新たなる可能性を必要としていると感じています。

厚生労働省が健康増進のために推奨しているのは、禁煙、適度な運動、バランスの良い食事、定期的な医師による検診、この4つです。もちろん、どれも大切です。
しかし、どれも継続が難しいものばかりではないでしょうか。継続しなければ健康を維持することはできません。
その点、カラオケはもともとが娯楽ですから、やろうと思えば苦もなく、それどころか楽しく続けられるのが最大の利点でもあります。

医学的に20年以上も前から、カラオケは脳の活性化につながり、ボケ防止になると言われています。
実は「銀の夢」にも、脳梗塞で倒れ、リハビリにカラオケを医師から勧められたというお客様が多くいらっしゃいます。
退院した頃はろれつが回らない方でも、いざ歌を歌うと、よどみなく歌えるのが不思議なものでした。
しかも日を追うごとにどんどん元気になってくる。仕舞いには普通に会話ができるまでに回復している。カラオケをやる人とやらない人では、回復力がまったく違うのだということは、私が実際に見て感じたことです。

私はまた一方で、カラオケハウス「銀の夢」の業態を、シャッター商店街の起爆剤になればと考えています。景気の低迷と商業圏の変化などにより、全国いたるところにシャッター商店街が多数存在しています。
そんな商店街に共通しているのは、シニア世代が多いということ。
また、お店をオープンするにあたり、スナック跡や空きスペースなどを低価格で借りられる上、アクセスがしやすい点もこの業態にはうってつけです。

こういった場所にあるスナックも、私はシニア世代が歌える場として、とても重要なものと考えていますが、社会の遊興娯楽の変化について行けず、やむなく閉店するお店が後を絶たない現状には一抹の寂しさを感じています。

かくいう私も、もとはスナック経営者でした。
スナックの歴史は古く、戦後の経済発展と歩調を合わせるように、スナックは日本全国に広がっていきました。当時のサラリーマンがモーレツ社員と言われていた時代です。家庭を顧みず仕事に没頭していた彼ら。
そんな彼らの頑張りによって、あっという間に日本は世界第2位の経済大国になりました。
その背景にスナックという文化があったと私は考えています。

私はかれこれ50年も前からそういった水商売に携わってきました。その当時、そのような仕事に就く女の子の世間体は、今と比べものにならない程悪い時代でした。やむを得ない理由で水商売をやっている人が圧倒的に多い時代です。
私はどうにかして彼女たちが卑屈にならないで済むように、彼女たちに常々言い聞かせていました。
「お客様はあなたたちによって元気をもらって、明日の仕事につなげているんだよ。
彼らが家庭内にストレスを持ち込まずにいられるのは、あなたたちのお陰なんだよ」と。だから、うちのお店で働いていた女の子たちは、誇りこそ持たないまでも、卑屈な子は一人もいませんでした。当然お金のために働いているのですが、これでも少しは社会の役に立っているんだという気持ちが、彼女たちを生き生きとさせていたのだと思います。
10店舗以上のチェーン店だったのですが、店はどこも満員でした。

彼女たちに言い聞かせていた言葉は、実は、水商売をやっていることに対してどこか卑屈な気持ちがあった自分自身への叱咤激励でもありました。彼女たち、そして自分自身の気持ちを煽るための言葉でしたが、今ではそれが真実だったように思います。

そして今、スナックが時代の役目を終えようとしています。

私は新たな役目こそ、カラオケハウスが担うであろうことを確信します。ステージで歌い、皆から拍手される快感、歌でつながる人の輪……、カラオケハウスには、これまでの老後のネガティブなイメージはまったくありません。

2,250店舗の拡大を実現するころには、健康寿命を延ばすためのカラオケが、ひとつの社会現象になっているはずです。そして社会現象から文化となって定着するころには、日本は元気なアクティブシニアが増え健康長寿大国となっていることでしょう。きれい事かもしれませんが、“カラオケで生まれる夢のある老後の社会”、“年を取るのが楽しみになるような社会”にしたいというのが、私なりの大きな目標であり、新たな叱咤激励です。

現在スナック経営をされており、経営に行き詰まりを感じている方、また、定年後の第二の人生を模索中のシニア世代の方、一度カラオケの新たなる可能性にかけて、カラオケハウス「銀の夢」のオーナーになってみませんか?そして次世代の人達が「年をとるのも悪くないな」と思える社会を作りませんか?

小規模店舗の経営ですから、多くの収益は見込めません。
しかし、社会貢献度の高さと景気の変動の影響を受けない安定した経営が将来にわたって続けられる業態だと、自信を持ってお薦めします。